ADHD(注意欠如・多動症)の症状・原因・支援方法
最終更新日:2026年10月17日
この記事の要点
ADHD(注意欠如・多動症)は、「集中が続きにくい(不注意)」「じっとしているのが難しい(多動性)」「思いついたらすぐ行動してしまう(衝動性)」といった特性が、年齢に比べて強く出る発達障害のひとつです。以前は「注意欠陥多動性障害」と呼ばれていました。一般には「多動症」と呼ばれることもあります。育て方やしつけが原因ではありません。特性に合った環境や関わり方を整えることで、毎日の困りごとを減らしていくことができます。
目次
ADHDとは
ADHDは、脳の働き方の特性によるものと考えられています。特性は12歳ごろまでに現れ、家庭だけ、学校だけではなく、複数の場面で生活に困りごとが出ている場合に診断されます。学齢期の子どもの数%にみられ、男の子に多いとされます。ただし女の子は「静かにぼんやりしている」不注意の特性が中心のことが多く、気づかれにくい傾向があります。
自閉スペクトラム症(ASD)、学習障害(LD)、発達性協調運動症(DCD)、チック、不安などを併せもつこともあります。気になる点は、まとめて相談するとよいでしょう。
「多動症」とADHDの関係
「多動症」は、ADHD(注意欠如・多動症)を指す呼び方として、一般によく使われています。ただし、ADHDには多動が目立たず、不注意が中心のタイプもあります。「じっとしていないからADHD」「動き回らないからADHDではない」とは言い切れないため、気になるときは様子をまとめて相談してみてください。
3つのタイプと主な特徴
特性の出方によって、「不注意が目立つタイプ」「多動性・衝動性が目立つタイプ」「両方が見られるタイプ」に分けられます。
不注意
忘れ物やなくし物が多い、話しかけても上の空に見える、宿題や片付けを途中で投げ出してしまう、気が散りやすい
多動性
座っているとそわそわする、授業中に立ち歩く、しゃべり続けてしまう
衝動性
順番を待てない、質問が終わる前に答えてしまう、友だちの遊びに割り込んでしまう
どれも多くの子どもに見られることです。ADHDかどうかは、その程度や続く期間、生活への影響の大きさから医師が判断します。
年齢別の現れ方
2〜3歳ごろ
この年齢の子どもはもともと活発で、気が散りやすいのが普通です。そのため、この時期にADHDと診断されることは多くありません。ただ、「危ない場面でも止まれない」「同じ年の子と比べて明らかに落ち着かない」などで子育てがつらいと感じるときは、診断を待たずに相談してかまいません。1歳6か月児健診や3歳児健診も相談のきっかけになります。
幼稚園・保育園のころ
集団活動で座っていられない、順番を待てないといった場面で気づかれることが増えます。
小学生以降
授業や宿題、友だち関係で困りごとがはっきりしてきます。叱られる経験が重なると自信をなくしやすいため、早めにサポートを始めることが大切です。
軽度・中等度・重度の違い
程度の目安は、特性の数や強さと、生活への支障の大きさで決まります。
| 程度 | おおよその状態 |
|---|---|
| 軽度 | 困りごとはあるが、工夫すれば日常生活がおおむね回る |
| 中等度 | 軽度と重度の間。場面によってははっきりした支障が出る |
| 重度 | 多くの場面で強い支障が出ている |
軽度だから支援がいらない、ということはありません。軽度でも、本人が毎日がんばり続けて疲れていることがあります。程度は成長や環境によって変わることもあります。
原因について分かっていること
はっきりした原因はまだ分かっていません。遺伝的な要因が大きく、そこに妊娠中の喫煙・飲酒や早産などの要因が関わると考えられています。
育て方やしつけ、親の愛情不足が原因ではありません。また、「砂糖のとりすぎでADHDになる」という説は、研究では裏付けられていません。
どこに相談すればいい?(奈良県)
- かかりつけの小児科(必要に応じて専門の医療機関を紹介してもらえます)
- お住まいの市町村の子育て・障害福祉の窓口
- 奈良県発達障害者支援センター でぃあー(磯城郡田原本町、相談無料、ご家族からの相談も可)
- 幼稚園・保育園・学校の先生
- 児童発達支援・放課後等デイサービス事業所(ぐりーんでは、受給者証の申請前から見学・ご相談をお受けしています)
支援と治療
中心になるのは、特性に合わせた環境づくりと関わり方の工夫です。具体的には、保護者が関わり方を学ぶペアレントトレーニング、友だちとの関わり方を練習するソーシャルスキルトレーニング(SST)などがあります。医師の判断で薬が使われることもあります。
いずれも「特性をなくす」ためではなく、困りごとを減らして本人が力を発揮しやすくするためのものです。
家庭でできる工夫
- 指示は短く、ひとつずつ伝える
- 予定や手順を絵やカードで見えるようにする
- できたことはその場ですぐにほめる
- 机の上やまわりの刺激を減らす
- 体を動かす時間と、睡眠のリズムを整える(運動による効果・睡眠による効果)
落ち着きのなさへの家庭での工夫は、「子どもが落ち着きがない・じっとしていられない」の記事でもくわしくご紹介しています。
ぐりーんでのADHDのお子さまへの支援
ぐりーんは奈良県内4拠点(天理・奈良市菅原・橿原・田原本)で、児童発達支援と放課後等デイサービスを行っています。担当スタッフが一人ひとりの個別支援計画にもとづき、ことば・運動・学習・生活の4つのプログラムを組み合わせて支援します。
じっとしているのが苦手なお子さまには体を動かす活動を取り入れ、見通しが持てるように活動の流れを分かりやすく示しています。診断がついていない段階でも、まずはご相談ください。
よくある質問
Q. 多動症とADHDは同じですか?
A. 「多動症」は、ADHD(注意欠如・多動症)を指す呼び方として一般によく使われています。ただし、ADHDには多動が目立たず不注意が中心のタイプもあり、動き回る様子だけでADHDかどうかは判断できません。
Q. 2歳でじっとしていられないのはADHDですか?
A. 2歳ごろはもともと活発な時期で、この年齢でADHDと判断されることは多くありません。危険な行動が多い、子育てがつらいと感じるときは、健診や市町村の窓口、かかりつけの小児科に早めに相談してください。
Q. ADHDの軽度と重度の違いは何ですか?
A. 特性の数や強さと、生活への支障の大きさで医師が判断します。軽度でも本人や家族が困っていれば支援の対象になり、程度は成長や環境で変わることもあります。
Q. 砂糖や食べ物がADHDの原因になりますか?
A. 砂糖がADHDの原因になるという説は、研究では裏付けられていません。バランスのよい食事や睡眠は大切ですが、特定の食べ物で特性がなくなるわけではありません。
Q. 診断がなくても、ぐりーんに相談できますか?
A. はい。見学やご相談は、診断や受給者証の申請前からお受けしています。利用に必要な手続きもご案内します。
参考資料
- 国立精神・神経医療研究センター病院「ADHD(注意欠如・多動症)」
- 発達障害情報のポータルサイト(国立障害者リハビリテーションセンター)「注意欠如多動症」
- 奈良県「専門的支援機関」相談窓口一覧(奈良県発達障害者支援センター でぃあー)
このページは一般的な情報です。お子さまの状態については、医師や専門の相談機関にご相談ください。
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この記事の監修者:久保 崇太郎(心理指導担当職員・保育士)
監修日・最終更新日:2026年10月17日
