ダウン症(21トリソミー)の特徴・原因・支援方法
最終更新日:2026年10月15日
この記事の要点
ダウン症(ダウン症候群・21トリソミー)は、21番染色体が1本多いことで起こる生まれつきの体質です。多くは細胞分裂のときに偶然起こるもので、妊娠中の食事や生活習慣が原因ではありません。発達はゆっくりですが、一人ひとりのペースで確実に成長します。乳児期からの療育と、定期的な健康管理が大切です。
目次
ダウン症とは
人の細胞には、ふつう2本ずつ対になった染色体があります。ダウン症は、21番目の染色体が3本(またはその一部が余分)あることで起こります。染色体の変化のなかで最も多いもので、およそ600〜800人に1人の割合で生まれ、人種や性別による差はありません。
多くの場合、生まれてすぐの体の特徴から疑われ、染色体検査で確定します。
3つのタイプ
標準型(約95%)
すべての細胞で21番染色体が3本ある、最も多いタイプです。卵子や精子ができるときの偶然の分かれ方の違いで起こります。
転座型(約3〜4%)
余分な21番染色体の一部が、別の染色体にくっついているタイプです。一部は親から受け継がれます。
モザイク型(約1〜2%)
21番染色体が3本の細胞と2本の細胞が混ざっているタイプです。特徴が比較的軽いことがあります。
タイプによって、成長や特徴に大きな違いはないとされています。
原因と遺伝について
妊娠中の食事や生活が原因ではありません
ダウン症は、細胞が分かれるときに偶然起こるものです。妊娠中の食事、運動、仕事、ストレスなど、お母さんやお父さんの行動や生活習慣が原因になることはありません。母親の年齢が上がると確率が高くなることは知られていますが、若いお母さんから生まれることも多くあります。
遺伝するのですか?
全体の約95%を占める標準型は、親から受け継ぐものではありません。両親の染色体に変化がなくても起こります。
遺伝が関係するのは、転座型の一部(転座型のうち約4分の1)です。この場合、親のどちらかが、健康には影響のない形で染色体の組みかえを持っていることがあります。次のお子さんのことなどが気になるときは、主治医を通じて遺伝カウンセリングを受けることができます。
主な特徴
よく見られる特徴には、次のようなものがあります。すべてが当てはまるわけではなく、個人差があります。
- 筋肉の張りが弱く(筋緊張低下)、体がやわらかい。関節もやわらかい
- 赤ちゃんのころ、おっぱいやミルクを飲む力が弱いことがある
- 目じりが上がっている、鼻が低めで顔が平らに見えるなどの顔立ち
- 手のひらに横一本のしわ(手掌単一屈曲線)がある、指が短め
- 小柄で、成長がゆっくり
ブラッシュフィールド斑とは
黒目のまわり(虹彩)のふちに見られる、小さな白っぽい点々のことです。ダウン症のある人に見られることがあり、診察のときの手がかりのひとつになります。視力や目の健康に影響するものではなく、治療の必要もありません。ダウン症でない人に見られることもあり、この点があるだけでダウン症と判断されることはありません。
発達と知的障害の程度
運動もことばも、ゆっくり発達します。歩き始めは平均で2歳ごろといわれますが、個人差があります。ことばは、聞いて分かる力に比べて、話す力の方がゆっくり伸びる傾向があります。一方で、目で見て覚えることや、人のまねをすることが得意な子も多くいます。
「軽度」「重度」とは
ダウン症そのものに、重症度の区分はありません。「軽い・重い」といわれるのは、知的障害の程度や合併症の有無が人によって違うためです。知的障害は、ほとんどの場合、軽度から中等度の範囲です。
知的障害を伴わないことはありますか
多くの場合、何らかの程度の知的障害を伴います。ただ、その程度は人によって大きく違い、モザイク型では軽めのこともあります。数字で表される程度よりも、その子が今どんなことに困っていて、何が得意かを見ていくことが大切です。知的障害の特徴や、家庭でできる工夫は「知的障害(知的発達症)とは」でご紹介しています。
合併症と健康管理
ダウン症では、次のような病気を合わせもつことがあります。早く見つけて治療できるよう、小児科を中心に定期的な健康チェックを続けます。
| 分野 | 主なもの |
|---|---|
| 心臓 | 生まれつきの心臓の病気(約半数)。乳児期に手術が必要なこともある |
| おなか | 十二指腸閉鎖、鎖肛など(生後すぐに手術が必要なことがある) |
| 耳・目 | 中耳炎、難聴、屈折異常、斜視、白内障など |
| 首の骨 | 環軸椎の不安定さ(首を強く曲げる運動には注意が必要なことがある) |
| その他 | 甲状腺の病気、白血病、睡眠時無呼吸、肥満、歯の問題など |
大人になってから
医療の進歩で、ダウン症のある人の寿命は大きく延び、多くの人が長い成人期を過ごしています。働いたり、趣味を楽しんだりと、それぞれの暮らし方をしています。
一方で、20代前後に元気がなくなる、できていたことが急にできなくなるなどの変化(急激退行)が見られることがあります。また、老化が早めに進み、認知症になりやすいことも知られています。大人になってからも、健康管理と相談できる場所を持っておくことが大切です。
療育と使える制度
ダウン症は生まれてすぐに分かることが多いため、乳児期から療育を始められます。体を動かす練習(理学療法)、手の使い方や生活動作の練習(作業療法)、ことばや食べる練習(言語聴覚療法)などを、病院や療育機関で受けられます。
- 児童発達支援・放課後等デイサービス:未就学のお子さまは児童発達支援、小学生〜高校生は放課後等デイサービスを、受給者証を使って利用できます(ご利用に向けた手続き)
- 療育手帳:知的障害のある方が、各種サービスや支援を受けやすくなる手帳です。お住まいの市町村の窓口で相談できます
- 小児慢性特定疾病の医療費助成:合併症の状態や治療内容によって、医療費の助成を受けられることがあります。主治医に相談してください
- 家族の会:日本ダウン症協会など、同じ立場の家族とつながれる場もあります
どこに相談すればよいか分からないときは、お住まいの市町村の障害福祉や子育ての窓口、保健センターが最初の相談先になります。
家庭でできる関わり
- 話しかけるときは、短いことばに身ぶりや絵、実物を添えて伝える
- お手本を見せて、まねしながら覚えられるようにする
- はう・登る・ボール遊びなど、楽しく体を動かす時間をつくる(首に負担がかかる運動は主治医に確認)
- 着替えや片付けは、手順を小さく分けて一つずつできるようにする
- ほかの子と比べず、その子のペースでできたことをほめる
ぐりーんでの支援
ぐりーんは奈良県内4拠点(天理・奈良市菅原・橿原・田原本)で、児童発達支援と放課後等デイサービスを行っています。担当スタッフが一人ひとりの個別支援計画にもとづき、ことば・運動・学習・生活の4つのプログラムを組み合わせて支援します。
体を動かす遊びで体の使い方を育てること、身ぶりや絵も使いながらことばとやりとりを育てること、着替えや食事など身の回りのことを少しずつ自分でできるようにすることを大切にしています。運動の制限など医療面の注意点がある場合は、ご利用前にお知らせください。
見学やご相談は、受給者証の申請前からお受けしています。
よくある質問
Q. ダウン症は遺伝しますか?
A. 全体の約95%を占める標準型は、親から受け継ぐものではなく、細胞が分かれるときに偶然起こります。遺伝が関係するのは転座型の一部です。気になるときは、主治医を通じて遺伝カウンセリングを受けられます。
Q. 妊娠中の食事や生活が原因になりますか?
A. なりません。ダウン症は染色体が分かれるときに偶然起こるもので、妊娠中の食事や運動、仕事、ストレスなどの生活習慣が原因になることはありません。
Q. ブラッシュフィールド斑とは何ですか?
A. 黒目のまわり(虹彩)のふちに見られる小さな白っぽい点々です。ダウン症のある人に見られることがありますが、視力には影響せず、治療の必要もありません。ダウン症でない人に見られることもあります。
Q. ダウン症に軽度・重度はありますか?
A. ダウン症そのものに重症度の区分はありません。知的障害の程度や合併症の有無が人によって違うため、軽い・重いといわれます。知的障害はほとんどの場合、軽度から中等度の範囲です。
Q. 療育は何歳から始められますか?
A. 乳児期から始められます。病院や療育機関でのリハビリに加え、未就学のお子さまは児童発達支援、小学生〜高校生は放課後等デイサービスを利用できます。
参考資料
- 小児慢性特定疾病情報センター「ダウン(Down)症候群」
- 東京逓信病院 小児科「ダウン症候群」
- アメリカ小児科学会「ダウン症患児の健康管理ガイドライン」日本語訳(愛知県)
このページは一般的な情報です。お子さまの健康や発達については、主治医や専門の相談機関にご相談ください。
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この記事の監修者:久保 崇太郎(心理指導担当職員・保育士)
監修日・最終更新日:2026年10月15日
