運動による効果|ADHD・自閉症(ASD)の子どもと運動、家庭でできる運動あそび
「ADHDの子に運動はいいの?」「走り方がぎこちないのが気になる」「どんな習い事なら続けられる?」。発達が気になる子どもと運動について、保護者の方からよくいただく疑問に、国の指針や研究で分かっていることをもとにお答えします。
このページの要点
- 子どもは毎日合計60分以上、体を動かすのが目安です(文部科学省・厚生労働省・WHO)。
- 運動は体力や睡眠のほか、気分や注意の向けやすさにもよい影響があると報告されています。ただし、発達障害を治すものではなく、医療や療育の代わりにもなりません。
- 大切なのは、苦手さに合わせて「楽しい」「できた」と感じられる運動を続けることです。
- ぐりーんでは、運動あそびプログラムで一人ひとりに合わせた運動支援を行っています。
子どもにはどれくらいの運動が必要?
文部科学省の「幼児期運動指針」は、幼児が遊びを中心に、毎日合計60分以上楽しく体を動かすことを目安にしています。散歩やお手伝いも含めた合計の時間です。小学生以上については、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」が、WHOのガイドラインをもとに次のように示しています。
| 年代 | 目安 |
|---|---|
| 幼児(3〜6歳ごろ) | 遊びを中心に、散歩やお手伝いも含めて毎日合計60分以上、楽しく体を動かす |
| 小学生〜高校生 | 少し息がはずむ程度以上の活動を1日60分以上。息が上がるような運動や、跳ぶ・登るなど筋肉や骨を強くする運動を週3日以上 |
| すべての年代 | 座りっぱなしの時間を減らす。特に、余暇のテレビ・ゲーム・動画などの時間(スクリーンタイム)を減らす |
今あまり体を動かしていないお子さんは、「今より少しでも多く動く」ことから始めれば十分です。60分を一度にまとめる必要はありません。
運動で期待できること
分かっていること
- 体力や運動能力、骨や筋肉の発達を支えます。
- 子どもの座りすぎや長いスクリーンタイムは、睡眠時間の減少などと関係していると報告されています。体を動かす時間をつくることは、生活リズムを整える助けになります。
- 体を動かしたあとは気分がすっきりし、注意を向けやすくなることがあります。ADHDのある子どもを対象にした研究でも、注意や切り替えなどへのよい影響が報告されています。
- 「できた」という経験の積み重ねが、自信につながります。
まだ分かっていないこと
- どの運動を、どれくらい続ければ、どの程度の効果があるのかは研究によって結果が異なり、個人差も大きいです。
- 運動だけで発達障害の特性がなくなる、お薬が不要になる、ということは示されていません。
「運動で脳が良くなる」という話を見かけることがありますが、その多くは大人を対象にした研究や、一部の結果を広げた説明です。運動は、毎日を過ごしやすくするための「生活の土台」と考えるのがおすすめです。
ADHDの子どもと運動
ADHD(注意欠如・多動症)のある子は、じっと座り続けることや気持ちの切り替えが苦手なことがあります。運動によって、ドーパミンなど脳内の神経伝達物質の働きが変わると考えられており、体を動かしたあとに集中しやすくなる子もいます。
ただし、運動はお薬や療育の代わりではありません。服薬中のお子さんは、自己判断で量を変えたりやめたりせず、主治医に相談してください。
取り入れやすい工夫
- 宿題の前に、5〜10分ほど縄跳びや鬼ごっこで体を動かす。
- 座る時間を短く区切り、合間に体を動かす休憩を入れる。
- かけっこのタイム計測や的当てなど、ルールが簡単で結果がすぐ分かる運動から始める。
- 「速かった」より「最後までできた」をほめる。
自閉症(ASD)の子どもと運動
走り方や体の動きがぎこちないのはなぜ?
自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもには、走り方がぎこちない、ボール遊びや縄跳びが苦手、転びやすいといった、体の動きの不器用さが見られることがあります。手と足を同時に動かす、見たものに合わせて体を動かすといった「協調運動」が苦手なためで、発達性協調運動症(DCD)として、ASDやADHDと一緒に見られることも少なくありません。
本人の努力不足ではないので、「ちゃんと走って」と繰り返すより、動きを小さく分けて練習するほうが身につきやすくなります。体のバランスや手足の位置を感じとる感覚のつかみにくさが関係していることもあり、その場合は感覚あそびを取り入れるのもひとつの方法です(感覚統合とは)。日常生活に困るほど気になる場合は、かかりつけ医や発達相談の窓口に相談してみてください(相談先は初めてのお母さんへで紹介しています)。
取り入れやすい工夫
- 始まりと終わり、順番を絵やカードで見せて、見通しを持てるようにする。
- 大きな音や人の多さが苦手な子は、少人数・静かな時間帯・慣れた場所から始める。
- トランポリン、ブランコ、水泳など、一人で取り組めてルールが分かりやすい運動も選択肢にする。
- お手本は言葉だけでなく、実際にやって見せる。
家庭でできる運動あそび
| 年代 | あそびの例 | ねらい |
|---|---|---|
| 幼児 | 鬼ごっこ、ケンケンパ、すべり台やジャングルジム、ボール転がし | 走る・跳ぶ・バランスをとるなど、いろいろな動きを経験する |
| 小学生 | 縄跳び、自転車、キャッチボール、水泳、家族での散歩 | 持久力やリズム感、手と足を合わせて動かす力 |
| 中高生 | ウォーキングやジョギング、腕立て・スクワット、好きなスポーツ | 体力づくりと、気分転換・生活リズムの習慣化 |
雨の日は、室内でのストレッチ、風船バレー、音楽に合わせたダンスなどもおすすめです。
トランポリンやバランスボール、粘土やスライムなど、揺れや力加減、肌ざわりを感じる「感覚あそび」も、毎日の遊びに取り入れやすい運動です。音や感触が苦手な感覚過敏のあるお子さまへの配慮とあわせて、感覚統合とはでくわしくご紹介しています。
運動の習い事を選ぶときのポイント
- 少人数や個別で見てもらえるか。
- 体験や見学ができるか。
- 勝ち負けより、「できた」を感じられる内容か。
- 音や待ち時間など、お子さんの苦手なことを先生に伝えて配慮してもらえるか。
- 本人が「楽しい」と思えるか。続けられることが、いちばんの効果につながります。
ぐりーんでは、英会話・プログラミング・ピアノなどのマンツーマンレッスン(特別支援プログラム)も、通常の利用料の範囲内で受けられます。
運動するときの注意
- こまめに水分をとり、暑い日は時間帯や場所を選ぶ。
- 疲れすぎているときは無理をさせない。
- てんかんや心臓の病気など持病のあるお子さんは、運動の内容や強さを主治医に確認する。
- 苦手な運動を無理にさせると、体を動かすこと自体が嫌いになることがあります。
年齢のわりに極端に不器用で、なわとびや自転車、はさみや字を書くことなどに強い苦手さが続く場合は、DCD(発達性協調運動症)が関係していることもあります。くわしくはDCD(発達性協調運動症)とはをご覧ください。
ぐりーんでの運動支援
株式会社ぐりーんは、奈良県内4拠点(天理市・奈良市・橿原市・田原本町)で児童発達支援・放課後等デイサービスを運営しています。運動あそびプログラムでは、個別支援計画に基づき、体を動かす遊びを通してバランスや協調運動、体力づくりに取り組んでいます。トランポリンやバランスボール、平均台、スライム、粘土などを使った感覚あそびも取り入れています(道具は拠点により異なります)。橿原支店には、ボルダリング壁や跳び箱のある運動ルームがあります。
見学・相談は、受給者証の申請前からお受けしています。
お電話:0743-62-7557(受付10:00〜17:00、土日祝は天理本店・橿原支店で受付)
よくあるご質問
- Q. ADHDの子には毎日どれくらい運動させればいいですか?
- 小学生以上は、少し息がはずむ程度の運動を1日60分以上が目安です(WHO・厚生労働省)。一度にまとめる必要はなく、通学や外遊びも含めた合計で考えます。今あまり体を動かしていない場合は、少しずつ増やせば十分です。
- Q. 運動で発達障害は改善しますか?
- 運動は体力や睡眠、気分、注意の向けやすさによい影響があると報告されていますが、発達障害の特性そのものを治すものではなく、医療や療育の代わりにもなりません。生活を整える土台として、療育や家庭での関わりと組み合わせるのがおすすめです。
- Q. 運動が苦手な子でもぐりーんの運動あそびに参加できますか?
- はい、参加いただけます。個別支援計画に基づき、お子さんのペースや得意・苦手に合わせて内容を調整します。見学・相談は受給者証の申請前からお受けしています。
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参考文献
- 文部科学省(2012).幼児期運動指針.
- 厚生労働省(2024).健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023/e-ヘルスネット「推奨シート:こども版」.https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-00-003.html
- 世界保健機関(WHO)(2020).身体活動および座位行動に関するWHOガイドライン.
- 国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター.発達性協調運動症(DCD)に関する解説.
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この記事の監修者:生馬 万悠子(理学療法士)
監修日・最終更新日:2026年10月17日
