聴覚過敏とは|子どもが音を嫌がる様子・原因と、家庭や学校でできる対策
聴覚過敏とは、ほかの人にとってはふつうの音を、とても大きく、ときには痛みのように感じてしまう状態のことです。掃除機やドライヤーの音で耳をふさぐ、人が多い場所に行くと泣き出す、といった様子として表れます。
わがままや気にしすぎではなく、音の受け取り方そのものに違いがあるため、がまんだけで乗り切るのはむずかしいことです。このページでは、奈良県内で児童発達支援・放課後等デイサービスを運営する株式会社ぐりーんが、聴覚過敏の基本と、子どもに見られやすい様子、家庭や学校でできる対策をまとめました。
このページでわかること
・聴覚過敏とはどんな状態か
・子どもに見られやすい様子と、苦手になりやすい音
・関係していることが多いもの
・気になったときの相談先
・イヤーマフなど、家庭でできる対策
・学校・園での配慮と、ぐりーんでの取り組み
聴覚過敏とは
聴覚過敏は、感覚の受け取り方のかたよりの一つで、「感覚過敏」のうち、音に関するものを指します。耳の聞こえ(聴力)そのものは問題ないことが多く、音の大きさや種類の感じ方が、ほかの人と違っている状態です。医学的な診断名ではありません。
苦手な音や、つらさの強さはお子さまによってさまざまです。同じ音でも、疲れているときや不安なときには、より強く感じやすくなります。感覚の受け取り方のしくみは、「感覚統合とは」でくわしくご紹介しています。
子どもに見られやすい様子
・掃除機、ドライヤー、トイレのハンドドライヤー
・赤ちゃんの泣き声、大勢の話し声、教室のざわざわした音
・運動会のピストル、花火、風船が割れる音
・サイレン、救急車、避難訓練のベルやブザー
・食器のこすれる音など、特定の高い音
・耳をふさぐ、その場から逃げ出す
・泣く、かんしゃくを起こす、パニックになる
・音が鳴りそうな場所や行事に行きたがらない
・人が多い場所では、ぐったり疲れてしまう
・音が気になって、話を聞いたり集中したりしにくい
ことばで「うるさい」と伝えられないお子さまは、かんしゃくや行きしぶりとして表れることがあります。困った行動の前に、どんな音がしていたかを振り返ってみると、きっかけが見つかることがあります。
関係していることが多いもの
発達の特性
聴覚過敏は、自閉スペクトラム症(ASD)のお子さまによく見られます。ADHD(注意欠如・多動症)のお子さまでは、まわりの音に気がそれやすく、つらさを感じることもあります。ただし、音が苦手だからといって、発達障害があるとは限りません。
疲れ・不安・睡眠不足
疲れているときや緊張しているとき、寝不足のときは、ふだん平気な音もつらく感じやすくなります。
耳や体の病気
まれに、耳の病気などが関係していることもあります。急に音を嫌がるようになった、耳を痛がる、聞こえにくそうにしている、といったときは、耳鼻咽喉科で相談しましょう。
気になったときの相談先
・お住まいの市町村の発達相談・子育て相談の窓口
・子どもの発達を診ている小児科・児童精神科など
・耳鼻咽喉科(聞こえや耳の状態の確認)
・通っている園や学校の先生、スクールカウンセラー
・児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所(見学・相談)
診断がなくても相談できます。相談の進め方は「診断前の相談先・受診の流れ」でもご紹介しています。
家庭でできる対策
イヤーマフや耳せんを使う
つらい場面では、イヤーマフや耳せん、ノイズキャンセリングのヘッドホンなどで音を小さくできます。お子さまが自分で「つけたい」と言えるように、ふだんから使い方に慣れておくと安心です。外を歩くときは、車や自転車の音が聞こえにくくなるため、大人がそばで見守りましょう。
大きな音の前に伝える
掃除機やドライヤーを使う前に「今から音が鳴るよ」と伝えるだけでも、驚きやつらさが小さくなることがあります。お子さまが別の部屋に移ってから使う方法もあります。
苦手な音を一緒に知っておく
どんな音が、どの場面でつらいのかを、お子さまと一緒に書き出しておきましょう。学校や園、習いごとの先生に伝えるときにも役立ちます。
逃げ場と、休める時間をつくる
外出先では、静かな場所を前もって探しておく、人が少ない時間を選ぶなどの工夫ができます。「つらくなったら、ここで休んでいいよ」と決めておくと、お子さまも安心して出かけられます。
無理に慣れさせようとしない
「がまんすれば慣れる」と苦手な音に何度もさらすと、かえってつらさや不安が強くなることがあります。疲れや寝不足でも感じやすくなるため、生活リズムを整えることも大切です。
学校・園で相談できる配慮
学校や園には、お子さまに合わせた配慮(合理的配慮)を相談できます。たとえば、次のような工夫があります。
・教室や行事で、イヤーマフをつけることを認めてもらう
・運動会のピストルを、笛や旗の合図に変えてもらう
・避難訓練のベルが鳴る時間を、前もって教えてもらう
・音楽の授業や集会で、出入りしやすい席にしてもらう
・つらくなったときに休める場所を決めておく
入学前や進級の前に、苦手な音と落ち着く方法を伝えておくと、学校側も準備がしやすくなります。学びの場については「特別支援学級(支援級)・通級とは」もご覧ください。
ぐりーんでの取り組み
ぐりーんにも、音が苦手なお子さまが通っています。お子さまが安心して過ごせるよう、次のような配慮をしています。
・イヤーマフ:ご家庭から持ってきていただき、必要なときに使えます
・個室:刺激が多くてつらいときは、個室で落ち着いて過ごせます
・活動の音量:音楽や動画などの音の大きさを、お子さまの様子に合わせて調整します
・外出:出かける先や過ごし方を、音の苦手さに合わせて考えます
・学校との連携:保護者の方のご希望があれば、学校と様子を共有します
どんな音が苦手か、どうすると落ち着けるかは、見学・相談のときやご利用前にお聞きしています。その日に取り組んだ支援の内容は連絡帳で、気になることは送迎のときやLINEでお伝えしています。
よくあるご質問
Q. 聴覚過敏とは何ですか?
A. ほかの人にとってはふつうの音を、とても大きく、ときには痛みのように感じてしまう状態です。感覚過敏のうち音に関するもので、医学的な診断名ではありません。聴力そのものは問題ないことが多いです。
Q. 音を嫌がるのは発達障害だからですか?
A. 聴覚過敏は自閉スペクトラム症(ASD)のお子さまによく見られますが、音が苦手だからといって発達障害があるとは限りません。疲れや不安、まれに耳の病気が関係していることもあります。気になるときは、市町村の発達相談や小児科、耳鼻咽喉科に相談してみてください。
Q. 聴覚過敏は治りますか?
A. 成長とともにつらさがやわらぐお子さまもいますが、感じ方そのものが大きく変わらないこともあります。イヤーマフを使う、苦手な場面を避ける、休める場所をつくるなど、環境を整えることで過ごしやすくなります。
Q. イヤーマフはずっとつけていてもいいですか?
A. つらい場面で使うのが基本です。静かな場所では外して過ごす時間もつくりましょう。外を歩くときは車などの音が聞こえにくくなるため、大人が見守ってください。使い方に迷うときは、医師や支援者に相談してみてください。
Q. ぐりーんでは、音が苦手な子にどんな配慮をしていますか?
A. ご家庭から持ってきていただいたイヤーマフを必要なときに使えるほか、つらいときは個室で落ち着いて過ごせます。音楽や動画などの音量もお子さまに合わせて調整し、外出先や過ごし方も考えます。保護者の方のご希望があれば、学校と様子を共有します。
奈良県で、音の苦手さを相談できる4拠点
見学・相談だけでも大丈夫です。お近くの拠点をご覧ください。
