子どもの他害・噛みつき|叩く・噛む・押す理由と対応、相談の目安
「お友だちを叩いてしまう」「園で噛みついたと言われた」「きょうだいを押したり蹴ったりする」。こうした、ほかの人を傷つけてしまう行動を「他害(たがい)」といいます。保護者の方にとっては、相手のお子さまへの申し訳なさもあり、とてもつらい悩みです。
叩く・噛むといった行動の多くには、お子さまなりの理由があります。このページでは、奈良県内で児童発達支援・放課後等デイサービスを運営する株式会社ぐりーんが、他害・噛みつきが起きる理由と年齢の目安、ご家庭での対応と相談の目安をまとめました。
このページでわかること
・他害・噛みつきとはどんな行動か
・年齢ごとの目安(1〜2歳/3歳/4〜5歳/小学生以降)
・叩く・噛むが起きる主な理由
・その場の止め方と、ご家庭での関わり方
・相談の目安と相談先
・ぐりーんでの対応
他害・噛みつきとは
他害とは、ほかの人を叩く、蹴る、押す、噛む、ひっかく、髪を引っぱる、物を投げつけるなど、相手を傷つけてしまう行動のことです。小さな子どもには、まだことばで気持ちを伝えられない時期によく見られます。
・おもちゃを取られたときに、叩く・押す
・思いどおりにならないときに、噛む・ひっかく
・順番を待てずに、前の子を押しのける
・近くに来た子や、大人の腕・肩に噛みつく
・かんしゃくの最中に、物を投げる・蹴る
わざと相手を困らせようとしているとは限りません。「いやだ」「かして」「あっちに行って」といった気持ちを、ことばより先に体で表してしまっていることが多いのです。
年齢ごとの目安
噛みつきや叩くことがいちばん多い時期です。ことばがまだ少なく、気持ちをうまく伝えられないため、体で表すことがよくあります。保育園などでもよく見られ、多くは成長とともに減っていきます。
ことばが増え、「かして」「いやだ」と言えるようになると、噛みつきは減っていくことが多いです。一方で、自分の思いが強くなり、思いどおりにならないときに叩く・押すが目立つこともあります。
多くの子は、ことばで気持ちを伝えたり、少し待ったりできるようになってきます。この時期になっても噛みつきが続く、回数が増えている、相手にけがをさせてしまうといった場合は、一度相談してみましょう。
体が大きくなる分、相手のけがにつながりやすくなります。友だち関係や学校生活での困りごとにもなりやすいため、きっかけを探りながら、学校とも相談して対応を考えていくことが大切です。
叩く・噛むが起きる主な理由
他害があるのは、「しつけが悪いから」「乱暴な子だから」ではありません。多くの場合、気持ちの伝え方や感じ方に、お子さまなりの理由があります。理由がわかると、対応のしかたが見えてきます。
ことばで気持ちを伝えられない
「かして」「やめて」「いやだ」をことばにできず、手や口が先に出てしまいます。ことばがゆっくりなお子さまに多く見られます。「ことばの遅れ」の記事もあわせてご覧ください。
音・人ごみ・さわられることがつらい
大きな音や人の多さ、急に体にふれられることが苦手なお子さまは、つらさから身を守ろうとして手が出ることがあります。噛む感覚そのものを求めているお子さまもいます。「感覚統合」や「聴覚過敏」のページもご参考にしてください。
予定の変更や、切り替えが苦手
急に遊びを終わらされた、いつもと順番が違ったなど、見通しが立たない不安やくやしさが、他害につながることがあります。「癇癪(かんしゃく)」や「こだわり・切り替え」の記事も参考になります。
気持ちより先に体が動いてしまう
「やりたい」と思った瞬間に体が動いてしまい、止める前に手が出ることがあります。「落ち着きがない」の記事でも、関わり方のヒントをご紹介しています。
かまってほしい・注目してほしい
叩くと大人がすぐに来てくれる、と覚えてしまうと、関わってほしいときに手が出ることがあります。他害の背景に、自閉スペクトラム症(ASD)やADHD(注意欠如・多動症)などの特性があるお子さまもいますが、他害があるだけで発達障害と決まるわけではありません。
叩いた・噛んだ、その場での対応
すぐに止めて、安全を守る
まずは手や体をそっと止め、相手の子との間に入ります。けががないかを確かめ、相手の子を先に安心させてあげましょう。
短く、落ち着いた声で伝える
「叩かないよ」「噛まないよ」と、短くはっきり伝えます。大きな声で長く叱ると、かえって気持ちが高ぶったり、叱られることで注目を集めると覚えてしまったりすることがあります。
叩き返す・噛み返すはしない
「痛さをわからせる」ために叩き返したり噛み返したりすると、「困ったときは叩いてよい」と伝わってしまいます。大人がお手本として、落ち着いた対応を見せることが大切です。
気持ちが高ぶっているときは、場所を変える
興奮しているときは、話をしても入りにくいものです。静かな場所に移って、落ち着くのを待ってから話しましょう。
ふだんの関わり方
落ち着いてから、気持ちをことばにする
「おもちゃを取られて、いやだったね」と、お子さまの気持ちを大人がことばにしてあげましょう。気持ちをわかってもらえた経験が、ことばで伝える力につながります。
「叩かない」より「こうする」を教える
「かして」「やめて」「いやだ」と言う、手をあげて大人を呼ぶ、その場を離れるなど、代わりの伝え方を具体的に教えます。ことばが難しいお子さまは、絵カードや身ぶりでもかまいません。
できたときに、すぐほめる
手が出そうな場面で「かして」と言えた、がまんできたときは、その場ですぐにほめましょう。叩いたときより、上手に伝えられたときに大人が注目することが大切です。
きっかけをメモしておく
いつ、どこで、誰に、何があった後に手が出たのかを簡単にメモしておくと、起きやすい場面や理由が見えてきます。相談するときにも役立ちます。
相談の目安と相談先
次のようなときは、ひとりで抱えこまず、一度相談してみましょう。
・4歳を過ぎても噛みつきが続いている、または回数が増えている
・相手にけがをさせてしまうことがある
・園や学校から、叩く・噛むことについて話があった
・ことばの遅れ、かんしゃく、音への苦手さなど、ほかにも気になる様子がある
・保護者の方が、どう関わればよいかわからず疲れている
相談先は、かかりつけの小児科のほか、市町村の子育て相談・発達相談の窓口、保健センターなどです。1歳6か月児健診や3歳児健診のときに相談するのもよい方法です。
診断がなくても相談できます。相談の進め方は「診断前の相談先・受診の流れ」でもご紹介しています。2歳のお子さまは見学・相談を受け付けています。ご利用は3歳からをおすすめしています。
ぐりーんでの対応
ぐりーんには、叩く・噛むといった行動があるお子さまも多く通っています。お子さまも周りのお友だちも安心して過ごせるよう、次のように対応しています。
・すぐに職員が間に入って止めます
・相手のお子さまと距離をとります
・個室で落ち着く時間をとります
・落ち着いてから、職員と一緒に気持ちをことばにします
・手が出やすい場面やきっかけを記録し、職員で共有します
・「やめて」「かして」を絵カードやことばで伝える練習をします(SST)
・活動の前に、流れや終わりを予告します
・お子さま同士の席や立ち位置を工夫します
・叩く・噛むなどがあった日は、送迎のときに保護者の方へお伝えします
・相手のお子さまのお名前はお伝えしていません
・保護者の方のご希望があれば、学校・園と様子を共有します
叩く・噛むことがあっても、まずは見学・相談でお子さまの様子をお聞きします。お困りのことを、お気軽にお話しください。
よくあるご質問
Q. 子どもの他害とは何ですか?
A. ほかの人を叩く、蹴る、押す、噛む、ひっかくなど、相手を傷つけてしまう行動のことです。小さな子どもは、まだことばで気持ちを伝えられないため、「いやだ」「かして」などの気持ちを体で表してしまうことがよくあります。
Q. 噛みつきは何歳ごろまで続きますか?
A. 噛みつきは1〜2歳ごろに多く見られ、ことばで気持ちを伝えられるようになる3〜4歳ごろには減っていくことが多いです。4歳を過ぎても続く、回数が増えている、相手にけがをさせてしまう場合は、一度相談してみましょう。
Q. 他害は発達障害と関係がありますか?
A. 他害があるだけで、発達障害と決まるわけではありません。ただ、ことばの遅れや音・さわられることへの苦手さ、気持ちより先に体が動いてしまうといった特性が背景にあるお子さまもいます。ほかにも気になる様子があるときは、まとめて相談してみましょう。
Q. 叩いたり噛んだりしたとき、どう叱ればよいですか?
A. まずはすぐに止めて、「叩かないよ」と短く落ち着いた声で伝えます。叩き返す・噛み返すことは避けましょう。落ち着いてから、「いやだったね」と気持ちをことばにし、「かして」「やめて」など代わりの伝え方を教えることが大切です。
Q. ぐりーんでは、他害のある子にどう対応していますか?
A. 叩く・噛むなどがあったときは、すぐに職員が間に入って止め、相手のお子さまと距離をとり、個室で落ち着く時間をとります。落ち着いてから気持ちをことばにし、「やめて」「かして」を伝える練習もしています。あった日は送迎のときに保護者の方へお伝えし、相手のお子さまのお名前はお伝えしていません。ご希望があれば、学校・園とも様子を共有します。
奈良県で他害・噛みつきや発達の悩みを相談できる4拠点
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