HSC(ひといちばい敏感な子)とは|4つの特徴と発達障害との違い、家庭での関わり方
「ちょっとした音やにおいに気づく」「人の気持ちに敏感で、すぐに泣いてしまう」「初めての場所では、しばらく様子を見ないと動けない」。こうした、生まれつき感じ方が細やかな子どもは「HSC(Highly Sensitive Child/ひといちばい敏感な子)」と呼ばれることがあります。
HSCは、敏感さという気質(生まれ持った性格の傾向)をあらわすことばで、病気や障害の名前ではありません。このページでは、奈良県内で児童発達支援・放課後等デイサービスを運営する株式会社ぐりーんが、HSCの特徴と、発達障害(自閉スペクトラム症・ADHD)や感覚過敏との違い、ご家庭での関わり方と相談の目安をまとめました。
このページでわかること
・HSCとはどんな子どもか
・HSCの4つの特徴
・発達障害(自閉スペクトラム症・ADHD)や感覚過敏との違い
・家庭での関わり方
・相談の目安と相談先
・ぐりーんでの対応
HSCとは
HSCは、アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士が提唱した考え方です。大人の場合はHSP(Highly Sensitive Person)と呼ばれます。子どもの5人に1人くらいがあてはまるといわれ、決してめずらしいものではありません。
HSCは医学的な診断名ではないため、病院で「HSC」と診断されることはありません。敏感さは「直すもの」ではなく、その子の持ち味の一つです。一方で、刺激が多い環境では疲れやすく、園や学校で困りごとにつながることもあります。
なお、HSCかどうかをチェックリストなどだけで決めつけることはできません。気になる様子があるときは、「HSCかどうか」よりも「お子さまが何に困っているか」に目を向けることが大切です。
HSCの4つの特徴
アーロン博士は、HSCには次の4つの特徴がそろっているとしています。
物事をじっくり考えてから行動します。初めてのことは、しばらく見てから始める、年齢のわりに大人びたことを言う、といった様子が見られます。
大きな音、人ごみ、まぶしい光、服のタグなどが気になりやすく、にぎやかな場所に長くいると疲れてしまいます。行事のあとにぐったりすることもあります。
人の気持ちに気づきやすく、友だちが叱られていると自分のことのように悲しくなります。うれしいときも悲しいときも、気持ちが大きく動きます。
部屋の模様がえや、大人の髪型、声の調子のちょっとした違いなど、ほかの人が気づかない変化によく気づきます。
HSCと発達障害の違い
HSCの「刺激に敏感」「集団が苦手」といった様子は、発達障害のある子どもの様子と似て見えることがあります。違いの目安は次のとおりです。ただし、見た目だけで見分けるのはむずかしく、両方の特徴をあわせ持つお子さまもいます。
自閉スペクトラム症(ASD)との違い
どちらも音や光などの感覚に敏感なことがあります。HSCの子は、人の表情や気持ちの変化によく気づき、その場の空気を読みすぎて疲れてしまう傾向があります。自閉スペクトラム症では、相手の気持ちや場の空気を読み取ることに苦手さがあったり、強いこだわりやくり返しの行動が見られたりすることが特徴です。くわしくは「自閉スペクトラム症(ASD)」をご覧ください。
ADHD(注意欠如・多動症)との違い
どちらも、周りの刺激に気をとられやすいことがあります。HSCの子は、行動する前に慎重に考え、「様子を見てから動く」ことが多い傾向です。ADHDでは、考えるより先に体が動く、待つのが苦手、忘れ物が多いといった様子が目立ちます。くわしくは「ADHD(注意欠如・多動症)」をご覧ください。
感覚過敏との違い
感覚過敏は、音や触られることなど、特定の感覚がとてもつらく感じられる状態のことです。HSCは感覚だけでなく、考え方や気持ちの動き方も含めた気質全体をあらわします。感覚過敏については「感覚統合とは」、音の苦手さについては「聴覚過敏とは」でご紹介しています。
敏感さの背景に、発達の特性が隠れていることもあります。「HSCだから様子を見よう」と決めずに、困りごとが続くときは、専門の窓口で一度相談してみましょう。
家庭での関わり方
敏感さを否定しない
「気にしすぎ」「それくらいでがまんしなさい」と言われると、お子さまは自分の感じ方をおかしいと思ってしまいます。「そう感じたんだね」と、まずは受けとめましょう。
大きな声で叱らない
HSCの子は、強く叱られると必要以上に傷つき、萎縮してしまいます。伝えたいことは、落ち着いた声で短く、具体的に伝えるほうが届きやすくなります。
予定や流れを前もって伝える
初めての場所や、いつもと違う予定は不安になりやすいものです。「どこに行って、何をして、いつ帰るか」を前もって伝えると、安心して取り組みやすくなります。
ひとりで休める時間と場所をつくる
にぎやかな一日のあとは、静かに過ごせる時間をつくりましょう。予定を詰めこみすぎないことも大切です。
気持ちをことばにする手伝いをする
「緊張したね」「びっくりしたね」と、大人がお子さまの気持ちをことばにしてあげると、少しずつ自分でも気持ちを伝えられるようになっていきます。
相談の目安と相談先
敏感さそのものは心配いりませんが、次のようなときは一度相談してみましょう。
・園や学校に行きしぶる、行けない日が続いている
・腹痛や頭痛、眠れないなど、体の不調が続いている
・音や人ごみがつらくて、生活の中でできないことが多い
・家では話せるのに、外ではほとんど話せない
・ことば、こだわり、落ち着きのなさなど、ほかにも気になる様子がある
相談先は、かかりつけの小児科のほか、市町村の子育て相談・発達相談の窓口、スクールカウンセラーなどです。外で話せない様子が気になるときは「場面緘黙」、集団が苦手なときは「集団に入れない」の記事もご参考にしてください。
HSCは診断名ではないため、HSCであることだけで受給者証の対象になるとは限りません。ただ、HSCかどうかに関わらず、困りごとがあれば受給者証の申請前からご相談いただけます。相談の進め方は「診断前の相談先・受診の流れ」でもご紹介しています。
ぐりーんでの対応
HSCについてのご相談は多くありませんが、敏感さや緊張しやすさから困りごとが出ているお子さまには、次のように対応しています。
・疲れたときは、個室で休めるようにします(周りの活動の声は聞こえますが、人の多い場所から離れて過ごせます)
・活動の流れを前もって伝えます
・大きな声で叱らないようにしています
・人前での発表などは、無理にさせません
・気持ちをことばにする練習をしています
・保護者の方のご希望があれば、学校と様子を共有します
「うちの子はHSCかも」と感じたときも、まずは見学・相談でお子さまの様子をお聞かせください。
よくあるご質問
Q. HSCとは何ですか?
A. Highly Sensitive Child(ひといちばい敏感な子)の略で、生まれつき感じ方が細やかな気質をもつ子どものことです。アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士が提唱し、子どもの5人に1人くらいがあてはまるといわれています。病気や障害の名前ではありません。
Q. HSCは発達障害ですか?
A. HSCは気質をあらわすことばで、発達障害ではありません。ただ、刺激への敏感さなど似て見える様子があり、両方の特徴をあわせ持つお子さまもいます。困りごとが続くときは、専門の窓口で相談してみましょう。
Q. HSCと自閉スペクトラム症(ASD)の違いは何ですか?
A. どちらも感覚の敏感さが見られることがあります。HSCの子は人の気持ちや場の空気によく気づき、気にしすぎて疲れてしまう傾向があります。自閉スペクトラム症では、相手の気持ちを読み取ることに苦手さがあったり、強いこだわりやくり返しの行動が見られたりすることが特徴です。
Q. HSCは病院で診断してもらえますか?
A. HSCは医学的な診断名ではないため、病院で診断されるものではありません。HSCであることだけで受給者証の対象になるとは限りませんが、困りごとがあれば、HSCかどうかに関わらず受給者証の申請前からご相談いただけます。
Q. ぐりーんでは、敏感なお子さまにどう対応していますか?
A. 疲れたときは個室で休めるようにし、活動の流れを前もって伝えています。大きな声で叱らない、人前での発表を無理にさせない、気持ちをことばにする練習をするなどの工夫もしています。ご希望があれば、学校とも様子を共有します。
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