社内コラム|令和7年3月号
「祈り」と心を落ち着ける力|リラクセーション反応と、誰かを思う気持ち
公開日:2025年2月25日 発行:株式会社ぐりーん
ぐりーんでは毎月、職員に向けて社内コラムを共有しています。このページでは、その中から、これから一緒に働く方にも知っていただきたい考え方を、読みやすく編集してご紹介します。
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「祈り」は科学で調べられるのか
誰かの回復を願って祈る。これは、宗教や文化を問わず、昔から人々が自然に行ってきたことです。欧米では、この「祈り」が健康にどんな影響を与えるのかを、科学的に調べようとする研究も行われてきました。
よく知られているのが、1980年代にアメリカの医師ランドルフ・バードが、サンフランシスコの病院の心臓病の患者約400人を対象に行った研究です。患者を無作為に2つのグループに分け、一方のグループのためだけに、遠く離れた人たちに祈ってもらいました。その結果、祈ってもらったグループの経過がやや良かったと報告され、大きな話題になりました。
しかしその後、研究の方法には疑問も出され、より大規模な検証が行われます。2006年に発表された、ハーバード大学のハーバート・ベンソン博士らによる約1,800人の心臓手術の患者を対象にした研究では、遠くから祈ってもらうことによる回復への効果は確認されませんでした(参考:Benson, H. ほか 2006年 American Heart Journal 151巻)。
祈る人の心と体に起きること——リラクセーション反応
一方で、ベンソン博士は1970年代から、祈りや瞑想をしている人の体に何が起きているのかを研究してきました。そして、静かに座り、ゆっくり呼吸し、ひとつの言葉や動作に意識を向けていると、呼吸数や心拍数、酸素の消費量が落ち着き、緊張がほぐれていくことを確かめ、これを「リラクセーション反応」と名づけました。
リラクセーション反応は、ストレスを感じたときに体が緊張する「闘争・逃走反応」と反対の働きです。特別な信仰がなくても、深呼吸や静かに目を閉じる時間などで、誰でも引き出すことができるとされています。
また、アメリカの多くの医学校では、患者一人ひとりの価値観や信仰、生きる支えとなっているものを理解し、尊重することを学ぶ教育が取り入れられています。病気を治すことだけでなく、その人の心の支えにも目を向けることが、医療の大切な一部と考えられるようになっているのです。
子どもの支援にも、働く私たちにも
気持ちが高ぶったり、不安になったりしたとき、自分で心と体を落ち着ける方法を知っていることは、子どもにとって大きな力になります。
- 風船をふくらませるイメージで、ゆっくり息を吐く深呼吸を一緒に練習する
- 気持ちが落ち着ける静かなスペースや、好きな感触の物を用意しておく
- 落ち着けたときには「ゆっくり息ができたね」と言葉で伝え、自分でできたという経験を積み重ねる
そしてこれは、働く私たち自身にもいえることです。忙しい支援の合間にひと呼吸おくこと、困ったときに職員同士で声をかけ合うこと。そして、子どもたちの成長や幸せを心から願う気持ちを、毎日の関わりの中で形にしていくこと。祈りの効果を科学で証明することは難しくても、誰かを思う気持ちは、支援の仕事のいちばんの原動力だと考えています。
監修:久保 崇太郎(心理指導担当職員・保育士) 監修日:2026年10月15日
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