社内コラム|令和8年2月号
金継ぎと心の成長|不完全さを受け入れ、困難から育つ力を信じる
公開日:2026年2月23日 発行:株式会社ぐりーん
ぐりーんでは毎月、職員に向けて社内コラムを共有しています。このページでは、その中から、これから一緒に働く方にも知っていただきたい考え方を、読みやすく編集してご紹介します。
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受け取る側から、渡す側へ
私たちは皆、誰かの子どもでした。幼いころは、親や先生、友だち、学んだ知識から多くのことを受け取りながら、「自分」をつくってきました。そして大人になった今、今度は自分が子どもたちに渡していく立場になっています。
ただ、受け取ったものの中には、少しずれた思い込みが混ざっていることもあります。思い込みが強くなると、目の前の事実をそのまま見ることがむずかしくなり、人との関わりにも影響が出てきます。子どもに何かを渡す立場だからこそ、自分の見方をときどき振り返ることが大切だと考えています。
「相手から見た自分」に目を向ける
古代ギリシャの哲学者プラトンは「洞窟の比喩」で、私たちが見ているものは本当の姿の「影」にすぎないかもしれない、と語りました。自分に見えている世界がすべてだとは限らない、ということです。
本当の自分とは、自分から見た自分だけでなく、相手から見た自分も合わせたものだといえます。それでも私たちは、どうしても自分の視点だけで判断し、行動してしまいがちです。
- 「自分がされて嫌なことは、人にしない」
- 「情けは人のためならず」(人への親切は、めぐりめぐって自分に返ってくる)
- 「ものを粗末にしない」
昔から言われてきたこうした言葉は、自分・相手・ものを分けずに、どれも大切にすることが、結局は自分を大切にすることにつながると教えてくれているように思います。
傷跡を、金で彩る
割れたり欠けたりした器を直すとき、傷跡をできるだけ目立たないようにして元どおりに見せる、という考え方があります。一方、日本の「金継ぎ」は、漆で継いだ跡に金粉などをほどこし、傷跡をあえて美しく見せます。
そこには、「不完全なものにも美しさがある」「傷跡はその器が歩んできた歴史だ」という、ものをまるごと受け入れるまなざしが込められています。
困難な経験から育つ力
心理学には「心的外傷後成長(PTG:Posttraumatic Growth)」という考え方があります。つらい出来事や大きな困難を経験した人が、苦しみと向き合う過程の中で、人との関係を大切に思うようになったり、自分の強さに気づいたりと、前向きな変化を経験することがある、というものです。
もちろん、つらい経験はないほうがいいですし、誰もが同じように成長できるわけでも、無理に前向きになる必要があるわけでもありません。それでも、時間をかけて苦しみと向き合い、周りの支えを受けながら、その経験を自分の中に少しずつ受け入れていくことで、新しい力が育つこともあるのです。
支援の現場で大切にしたいこと
子どもたちも、ご家族も、そして働く私たちも、それぞれにうまくいかないことや苦しい経験を抱えています。
- うまくいかなかった経験を「失敗」で終わらせず、その子の歩みの一部として受け止める
- 「できないこと」だけを見るのではなく、その子が積み重ねてきたものにも目を向ける
- 職員同士も、苦しいときに一人で抱え込まず、支え合える関係をつくる
金継ぎの器のように、不完全さも含めてその人らしさとして大切にできる。そんなまなざしを持ったチームで、子どもたちの成長を見守っていきたいと考えています。
監修:久保 崇太郎(心理指導担当職員・保育士) 監修日:2026年10月15日
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